49歳“大巨人”石川修司が「今が全盛期」と語る理由。身長195cm、体重130kgのレスラー |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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49歳“大巨人”石川修司が「今が全盛期」と語る理由。身長195cm、体重130kgのレスラー

■「俺がやらなきゃ潰れてしまう」上に立って覚悟が決まった

▲「怖い先輩」とのデビュー戦を振り返る

 石川はデビューを振り返って「怖かったことしか覚えていません」と語った。プロレスラーのデビュー戦の相手は同期生や大先輩が務めることが多いが、石川がデビュー戦で対戦したのは、大先輩の「スーパー宇宙パワー」こと木村浩一郎だ。木村は、前田日明が設立したリングスにも参戦経験があり、ヒクソン・グレイシーとも対戦経験のあるレスラーだ。

「当時は木村さんがDDTのトップでした。木村さんは色々と武勇伝を持っている、すぐに手がでる昔ながらの人でした。僕は出されたことはなかったですけど、目撃したことがあるから怖かったですね。対戦が決まってから、すごい緊張してました。試合の前日は寝れなくて。後にも先にも試合前に眠れなかったのはそれだけです」

 「怖い先輩」とのデビュー戦を終えた石川は、ポイズン澤田JULIE(※1)が主宰したユニオンプロレス(※2)へ移籍。これがレスラーとしての転機となった。

「若い子たちが多い中で『自分がやらないと団体がなくなっちゃう』という危機感はありましたね。DDTにいたときは上に先輩がいたからあんまり考えてなかったけど、ユニオンは澤田さんと僕以外は若い子ばかり。そこで他団体からきた関本大介(※3)とかと戦うようになって、自分のプロレススタイルができたと思います」

 石川は豪快なプロレスが持ち味である。パワフルにエルボーや頭突き、ランニング・ニーリフトをかます。「動ける巨人」であり、ミサイルキックも使いこなす。

「彼は大きいだけじゃなくて動けるのが凄い。やっぱりしっかり練習してるからですよ」以前あるレスラーが石川をこう評していた。恵体に甘えて、練習がおろそかになってしまうレスラーは少なくないが石川はそうではなかった。

 ユニオンプロレスに所属しながら、当時はガチガチのデスマッチ団体だった大日本プロレスにも参戦。

 凶器の蛍光灯やガラスボードで身体を傷だらけにしたこともある。

「ハードコア(※4)スタイルのプロレスは何回かやったことありますけど、あの当時の大日本プロレスは“ストロングBJ(※5)”がなくて、デスマッチやるしかなかったんです。それでも自分とユニオンプロレスの名前を売るためには(デスマッチ)やるしかなかった。名誉欲みたいなのがあったと思います。大日本プロレスのメインでチャンピオンになるために覚悟を決めてやりました」

 ベルトを巻いた石川は、大日本プロレスのエースである関本や岡林裕二(※6)ともバチバチの戦いを繰り広げ、ヘビー級ベルトを獲得。シングルリーグ戦「一騎当千」でも優勝を果たした。古巣のDDTにも乗り込み、同団体の頂点である KO-D無差別級王座を奪取する活躍をみせる。その頃から石川は、「進撃の大巨人」と呼ばれるようになる。

※1:元プロレスラー。新日本プロレスを怪我で退団後、アメリカに渡ってデビューを果たし、DDTなど多くの団体のリングで活動をしてきた。

※2:1993年、インディー団体の選手、プロレス関係者と共にインディー団体統括組織「レスリングユニオン」から「ユニオンプロレス」と改称して発足。1995 年に一度解散するも、ポイズン澤田JULIEによって再旗揚げした。

※3:大日本プロレス所属のプロレスラー。鍛え上げられた肉体が特徴で、自らの身体を「凶器」呼んでいる。分厚い筋肉は全盛期のディック・ザ・ブルーザーを彷彿とさせる。

※4:レフェリーが特に危険とみなす行為以外すべての反則が認められ、場外カウントなし、武器OKの試合。

※5:大日本プロレスが掲げた「力こそパワー」を実践する同団体のブランドの一つ。ゴツゴツとした力のぶつかり合いが人気を呼んでいる。

※6:自衛隊に所属していたプロレスラー。デビュー当初から怪力とプロレスセンスで一気に台頭。2023年に引退も視野に入れた無期限の休業に入った。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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